
あなたはペットボトル入りの水をよく買いますか?最近は様々な種類の水が店頭に並んでいますよね?日本産の水や輸入された海外の水など本当にたくさんの種類があります。
そんな「水」ですがペットボトルの裏の原材料に「軟水」や「硬水」または「鉱水」と書いてあったりしますよね。
いまいち、これらの違いって分かりませんよね?言葉のイメージから柔らかかったり硬かったりするのかと思うかもしれません。
この軟水と硬水は水に含まれる金属イオンの量(硬度)によって区別されます。また、鉱水は 地下水のうち、水に溶け込んでいるミネラル等により特徴付けられる地下水を指します。
この鉱水は軟水や硬水とは別の分類方法で分類されています。では、軟水、硬水、鉱水と硬度について説明します。
硬度とは
まず、一般的に水には微量ミネラルが含まれています。ミネラルとはカルシウム塩やマグネシウム塩のことです。塩とは酸の水素イオンが金属イオンになった化合物です。
塩化ナトリウム(食塩NaCl)も塩酸(HCl)のHがナトリウム(Na)に置き換わった塩です。そしてこの塩の量を表す指標が硬度です。基本的には\(\frac{塩(えん)の質量}{水の体積}\)で計算されます。しかし、一口に硬度といっても何種類か存在します。
総硬度
各種類の塩の硬度の合計を総硬度と言います。一般的に硬度というと、この総硬度を指します。
一時硬度
水を煮沸すると、沈殿が生じます。この沈殿は炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムといった炭酸塩です。煮沸すると水に溶けていた炭酸塩は沈殿するので炭酸塩の濃度を一時硬度と言います。
永久硬度
炭酸塩は水を煮沸すると沈殿する一方、硫酸塩(硫酸カルシウムや硫酸マグネシウム)は煮沸しても沈殿しません。なので、硫酸塩の濃度を永久硬度と言います。
カルシウム硬度
カルシウム塩の濃度をカルシウム濃度と言います。
マグネシウム硬度
マグネシウム塩の濃度をカルシウム濃度と言います。
硬度の計算方法
硬度には、アメリカ硬度、ドイツ硬度などがあります。それぞれで計算の方法が違います。日本では主にアメリカ硬度が使われています。アメリカ硬度では総硬度を炭酸カルシウムに換算して、その値をmg/Lで表します。
世界保健機構(WHO)の基準ではアメリカ硬度が0~60を軟水、0~120を中硬水、120~を硬水としています。ただ日本では社会通念として、硬度100以下が軟水でそれ以上は硬水として分けられることが多いです。
軟水の特徴
軟水は水に含まれるミネラル(塩)が少ない水です。日本で採れる水はほとんどが軟水です。(沖縄を除く)水が地層を移動する最中に土壌の中のミネラルが溶け込みます。しかし、日本はとても山がちな国です。なので、雨が降ってもすぐに海に流れてしまいます。
しかも、日本の地層は主にミネラルの少ない火成岩が中心です。つまり、ミネラルが少ししか溶け込まない、ということです。そんな軟水の特徴をいくつか挙げます。
口当たりがまろやかで飲みやすい
軟水はミネラルが少ないため口当たりがまろやかです。また、お茶やコーヒーに軟水を使うと素材本来の味がよく出ると言われています。同じ理由で素材を生かした繊細な味が特徴の日本料理に軟水は適しています。
セッケンの泡立ちがとてもいい
軟水は硬水と比べてセッケンの泡立ちがいいです。セッケンをカルシウムイオンやマグネシウムイオンが多く含まれる硬水で使うと、セッケンがそれらのイオンと反応して水に溶けない脂肪酸塩を生じます。
なので、洗浄力が落ちるというわけです。しかし、合成洗剤は硬水中でも洗浄力が落ちません。なので、硬水で洗濯するときは合成洗剤を使いましょう。
胃腸にやさしい
軟水はミネラルが少ない分胃腸への負担が小さいです。なので、赤ちゃんや小さい子供が飲むのに適していると言えます。
硬水の特徴
欧米には硬水が多く存在します。日本と違って欧米は大地にしみ込んだ水が地層に接する時間が長いです。また、地層も石灰質が多くみられるためミネラルを多く含みます。
日本では、沖縄の水は硬水であることが知られています。
沖縄に土壌は大陸からの川や海流による堆積や太古のサンゴ礁でできた琉球石灰岩の風化によってできています。なので、沖縄の水は硬水になりやすいです。
そんな硬水の特徴を挙げていきます。
ミネラルが豊富
ミネラルは人間が生きていくのに必要な栄養です。水を飲めばミネラルも摂取できるので軟水よりもお得かもしれません。
また、肉の煮込み料理では硬水を使うと、ミネラルの作用で肉が柔らかくなり臭いも取れます。
鉱水とは
では鉱水はどんな水なのでしょうか?
鉱水とは、ポンプ等により取水した地下水のうち、溶存鉱物質(水に溶け込んでいるミネラル)等により特徴付けられる地下水のことです。
つまり鉱水と硬度は関係ありません。
農林水産省の「ミネラルウォーター類の品質表示ガイドライン」では、原水は7種類に分類されています。
浅井戸水、深井戸水、湧水、鉱泉水、温泉水、伏流水、鉱水です。これらの分け方は硬度とは全く関係ありません。
まとめ
これまでの内容をまとめると
- 軟水と硬水の違いは硬度
- 硬度は水に含まれるミネラルの濃度
- 鉱水は硬度と関係がない
となります。日本では軟水がよく飲まれますが、たまには硬水を飲んでみてもいいかもしれません。