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【解説】未来を発明するキャッチコピーの作り方【書評】

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広告などでよく見るキャッチコピーって短い言葉なのにかっこいいですよね。カリスマと呼ばれる人が用いるキャッチフレーズも非常に心を動かされます。

今回はそんな未来をつくる言葉の作り方を『未来は言葉でつくられる』(細田高広 著)から紹介したいと思います。

一言でその方法を説明するならば「人に今まで見たことのない風景を見せる」という感じになります。
テクニックだけを知りたいは目次から「言葉をつくる」へ飛んでください。

筆者が言うには、優れた言葉が必要なのは広告をつくる段階ではなく、経営者が未来を語る言葉、開発者が商品を開発する言葉です。
そして、その「新しい意味を持った言葉」に人は動かされると説きます。

未来を発明するキャッチコピーとは

「ビジョナリーな人」という表現があります。スティーブ・ジョブズやジェフ・ベソスなどがその代表的な人と言えます。
そのビジョナリーという表現を 『未来は言葉でつくられる』(以下、本書)では「先見の明がある」「洞察力がある」という意味ではなく「こんな未来にしたい」という意志の中にある風景を表すこと、と捉えています。

そして、想像の中の未来を鮮やかに言い当て、変化の行方を指し示す。
そうやって、未来の骨格となる言葉を本書では「ビジョナリーワード」と呼びます。

実体のない未来を示す言葉は、ときに馬鹿にされ、ときに物議を醸し、それでも人々を熱狂させ、仲間を駆り立てました。

「よりよい世界への展望」が「確信に満ちた適切な言葉」で語られるとき、人々の行動が呼び起こされる
それは政治、ビジネス、アートなどあらゆる人間の活動に共通の真理ではないか、と筆者は述べています。

機能するビジョナリーワードの条件

よくできたビジョナリーワードは「未来からの絵葉書」に例えることができます。
その人だけが数十年ごにタイムスリップし、まるでそこから現在へ1枚の写真を送ったかのように、鮮明で魅力的な景色を見せるような言葉になっています。

ビジョナリーワードを未来からの絵葉書として例えると、人を引き付けるビジョナリーワードの条件は

  • 解像度
  • 目的地までの距離
  • 風景の魅力

となります。それぞれを簡単に説明します。

解像度

解像度の低い言葉というのは「次世代の」「新しい」「便利」「幸せ」「優れた」などです。
このような言葉からは未来を具体的に想像できません。

何が新しいのか、どのように便利なのか。
言葉はできる限り具体的にしましょう。

目的地までの距離

人を旅立たせるためには「行ってみたい」という憧れをかき立てると同時に「行けるかもしれない」と思える絶妙な距離が重要です。

「絶対に実現できない事」よりも「もしかしたら実現できるかもしれない事」に人は動かされます。

ケネディ大統領は「10年以内に人類を月に送り込む」と言いました。
もしこれが「火星」だったら人々は動かされなかったかもしれません。

風景の魅力

そもそも、見せる風景が魅力的でなければ話になりませんよね。
あなたが見ている未来の風景が他人が行ってみたいと思えるのか、苦労してでも行きたいと思えるか、を左右するのは世界をいい方向に導いてくれるかもしれないという期待感です。

これら3つの条件を満たす言葉をいきなり考えることは難しいですし、言葉を発明しても具体的な行動が伴わなければ意味がありません。
つまり、言葉を書くだけでなくその前後の設計も重要になります。
その大きな意味での「書く」作業は

  • 現状を疑う
  • 未来を探る
  • 言葉をつくる
  • 計画をつくる

の4つのプロセスで捉えられます。

現状を疑う

普段の生活の中で「何かおかしいのでは」「もっといい方法があるのでは」といった「本当にそう?」という問いかけが未来への入り口をつくります。

ダウト・リスト

生活の中でふとしたときに感じる「本当にそう?」という疑問、不満はすぐに消えてしまいます。
だからこそ気づいたとき即座にメモして「ダウト・リスト」としてまとめましょう。「ダウト・リスト」をつけると普段から常識を疑う癖がつきます。

ネットフリックスの創業者はある日、部屋の掃除中に数週間前に借りたレンタルビデオを見つけました。膨大な延滞金に怒り狂う妻の様子が頭をよぎり、次には誰もが感じる不満を感じたといいます。
レンタルビデオは会員制にできないのかという「疑問」からネットフリックスが生まれたわけです。

言葉のラベルを剥がす

また、言葉に対しても「本当にそう?」という目線を向けます。
常識にとらわれない発想をしようと思っても言葉そのものが既成概念になってしまいます。

「新しい車」を考えようにも「車」という言葉自体が形や構造を決めてしまっています。なので、その「言葉というラベル」を剥がしていきます。

言葉のラベルを剥がすというのは一般名詞や固有名詞を使わずにその商品やサービスを説明することです。

「車」でいうとある人にとっては「移動するリビング」ある人にとっては「スピードを楽しむアトラクション」かもしれません。

言葉のラベルを剥がすことで常識にとらわれずに思考できます。

未来を探る

もしも?」という問いかけを繰り返すことで、未来を様々な角度から眺め、商品やサービス、自分自身の可能性を探っていきます。

「なぜ?」ではなく「もしも?」を繰り返して想像を膨らませて生まれたアイデアは一見すると荒唐無稽のように感じるかもしれませんが、新しい何かを生み出すことは過去の何かを破壊することです。

もしもレンタルビデオが定額制だったら。からネットフリックスが生まれ、
もしもコンピュータが個人の持ち物になれば。からパーナルコンピューターが生まれました。

言葉をつくる

広がった妄想を「つまり?」に答えられるシャープで解像度の高い言葉にしていきます。
新しい未来を表す言葉はまだ世の中に存在しないので、何かしら新しい言葉を生み出す必要があります。
以下、新しい言語表現をつくる5つの技法を紹介します。

呼び名を変える

「呼び名を変える事」は既存の呼び名を捨てて未来に相応しい「呼び名」を与えることです

ディズニーランドでは従業員のことを「キャスト」と呼びますよね。
「キャスト」と呼び名を変えたことで「職場」は「ステージ」になり、「労働」は「演技」になりました。

「キャスト」と「テーマパーク」の組み合わせが新しい意味を生み出しています。

ひっくり返す

「ひっくり返す」とはネガティブな言葉をひっくり返して、ポジティブな未来を記述する方法です。

ホリエモンこと堀江貴文さんは「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」というネガティブな言葉に対して「多動力」というポジティブな言葉を創り出しました。
最近では「ベビーシッター」を「育児師」と呼んではどうか、とも言っていました。

言葉が変わるだけでイメージは大きく変わります。

喩える

「喩える」とは過去や現在のアイデアに喩え、他の業界や領域の視点を引用することで、未来を記述する方法です。

アイデアがゼロから生み出されることは非常に稀です。大抵は既存のアイデアを組み合わせることで新しいアイデアが生まれています

ハリウッド映画も「喩える」ことで次々と作品を作り出しています。
映画『エイリアン』シリーズは「宇宙を舞台にしたジョーズ」。
『タイタニック』は「豪華客船が舞台の『ロミオとジュリエット』」です。

「喩える」ことで人はよりその未来を具体的に想像できるようになります。

ずらす

「ずらす」とは既存の商品やサービスの要素をずらすことで、新しい言葉と視点を生み出す方法です。

「ゲーム」を例に取ると最初は「アーケードゲーム」だったのが、場所を家庭にずらすことでファミコンなどの「ホームゲーム」になり、さらに家庭から個人単位にずらすことでゲームボーイなどの「ポータブルゲーム」が生まれました。

反対を組み合わせる

「反対を組み合わせる」とは文字通り、反対の概念を組み合わせることで、新しさを得る方法です。

無印良品などもその例で、「ブランド品こそいいもの」が常識の時代に「ノーブランド」と「高品質」という矛盾した要素を掛け合わせました。

計画をつくる

次は指すべき未来を叶える「そのために」どんな行動をどんな順序でとるべきかを考えます。

筆者は、多くの企業で経営ビジョンと呼ばれるものが、せいぜいPRで使われる上辺の言葉にしかなっていないのは、掲げられたビジョンと、それを叶えるための行動や計画が伴っていないからだと言います。

ではどのように計画を立てればいいのかというと「バックキャスティング」という手法を用います。バックキャスティングとは目的地に到達した視点から現在地を見るという方法です。

現在から目標に向かっても、それは現在の延長線上にあるにすぎません。

まとめ

今回は未来を発明するキャッチコピーの条件と作り方と紹介しました。機能するビジョナリーワードの条件は

  • 解像度
  • 目的地までの距離
  • 風景の魅力

です。そして、「本当にそう?」「もしも?」「つまり?」「そのために」という問いを繰り返すことで言葉を創り出せます。

本書ではこの記事の内容がより詳しく、具体例も交えて紹介されています。





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