
今回は『ハーバード、オックスフォード・・・ 世界のトップスクールが実践する考え方の磨き方』(福原正大 著)の紹介をしてきたいと思います。
この本の内容を一言でまとめると
グローバルに活躍するためには、答えのない問題について考え、自分なりの意見を持つことが重要
となります。
グローバルリーダーに不可欠な力とは
本書ではグローバルリーダーに必要な能力として
- 語学力
- 確固たる価値観を持つこと
- 本物の教養を身に着けていること
が挙げられています。特に価値観と教養は語学力よりも遥かに重要だと述べられています。
確かに語学力はコミュニケーションを図る道具でしかないですしね。
そして、これらは日本人が苦手とすることではないでしょうか。
若者の政治離れや勉強に意味を見出せない人が多いことからも、日本人に足りない要素かもしれません。実際、交渉やビジネスの世界において日本人が高く評価されていないですし。
筆者が言うに、日本人に最も必要なのは、
「本質的な物事に関して、しっかりと思考し、自分なりの考えを持つこと」
「ブレない価値観をきちんと主張し、コミュニケーションを図れること」
であり、このような人間としての軸を形成することがグローバル人材への第一歩だ、ということです。
教養が思考の核になる
最近は学校での勉強を「社会で役に立たない無駄なもの」と捉える人が多いですが、教養を持つという点では無駄でないかもしれません。
フランスの政治家エドゥアール・エリオは教養や哲学について
「それはすべてを忘れたときに残るものであり、すべてを習った後にでも、なお足りないもの」と述べています。
逆に、いかに多くの知識を詰め込んでも、それを自分なりに咀嚼し、思考し、取捨選択し、再構成しなければ意味がない、ということになります。
知識は前提として、それを用いてどのように思考していくかが大切です。
日本の教育は(大学受験にしろ)用意された答えを求める、といった要素が強いと思います。知識偏重といわれるのも頷けます。
僕自身も普段から友人と哲学的な会話はしませんし、ほとんどの人が同様だと思います。
一方、海外のトップスクールでは、知識よりもどこまで深い思考ができるかが問われます。
この本ではそんな入試の一部を紹介しながら、様々な問いが読者に投げかけられます。以下ではその概要を簡単にまとめていきます。
答えのない問い
この本の中では大きく分けて
- 認識
- 国家
- 自由
- 経済
- 科学技術・自然
についての問いが様々な哲学者の意見とともに紹介されています。
あなたは誰か
一見シンプルに見えて難しいのではないのでしょうか。
普通なら名前や職業、国籍などで説明するでしょうか。しかし、それは”あなたの名前”であって、”あなた”ではないかもしれません。
「こんな考えを持っている」としても、それは本当にあなたの考えなのか。
他人に影響された結果でしかないかもしれません。
国家とはなにか
世界では新しい国ができたり、逆に併合されたり、ということが普通に発生しています。ユーゴスラビア紛争などがその例です。
また、日本人であることを証明しなさい、と言われたら多くの人は国籍を挙げると思います。では国籍は誰によって認められるのか、それは国すなわち日本人の集まりであって、元を辿れば同じ日本人に行きつくという。
自由は平等によって脅かされるか
自由と平等の加減は難しいですよね。
自由だといってなんでもやっていいわけではないし、そもそも自由とは何を指すのか。真の意味で平等なんて存在するのか。
資本主義は正しいか
資本主義の対局として社会主義が挙げられますが、ソ連の崩壊によって「資本主義の方が正しい、優れている」と考える人は多いのでは?
現在、貧富の格差が問題になっていますが、それは仕方のないことなのでしょうか。
金持ちから税金を取って、貧しい人に還元することは、資本主義に反していないか。など、いろいろ考えられます。
芸術は科学ほど必要ではないか
そもそも芸術とは何かを説明できる人が少ないのでは?
どちらも人類を豊かにするものですが。
ちなみに芸術家の岡本太郎さんは芸術について、
「あなたが日々感じる喜びこそが「芸術の正体」であり、それを表現したものが芸術作品である」と。
これが正しいというわけではありませんが、言われてみれば確かに納得できるかもしれません。
まとめ
いろいろ紹介しましたが、一番大切なのは、自分の哲学・価値観を持つことです。興味のある方はこの本を読んでみることをお勧めします。
本記事で紹介した以上の問いや考え方が紹介されています。